麦草岳、木曽前岳

麦草岳 2,721.3m 木曽前岳 2,826m

 山行情報

山行日       2021年7月26日(月) 晴れ

山頂所在地/山域  長野県/中央アルプス

アクセス/出発地  車/コガラ登山口駐車場から往復

行程詳細      コガラ登山口駐車場(7:18-7:32)→ 福島Bコース・茶臼山分岐(7:33)→ 幸ノ川渡渉地点(8:07)→
          福島Bコース4合目(8:20)→ 福島Bコース5合目(9:08)→ P2106(9:12-9:17)→
          福島Bコース6合目(9:34)→ 木曽駒ヶ岳七合目避難小屋(10:06-10:14)→ 駒石(10:58)→
          麦草岳山頂(11:01-11:11)→ 牙岩(12:31)→ 上松Aコース分岐(13:05)→ 木曽前岳山頂(13:20-13:42)→
          玉の窪小屋(13:51-13:56)→ 福島コース8合目(14:48)→ 曽駒ヶ岳七合目避難小屋(15:24-15:30)→
          幸ノ川渡渉地点(16:55)→ カメラ捜索(16:59-17:19)→ コガラ登山口駐車場(17:42)

所要時間/距離   行動時間:8時間54分 休憩時間:56分 カメラ捜索時間:20分 合計:10時間10分/16.0km

服装/装備     半袖シャツ、トレッキングタイツ、トレッキングパンツ、登山靴

GPSログ      GPX  KML  標高CSV    商用以外であれば自由に利用できます。

   この地図は、国土地理院発行の電子地形図(タイル)を複製したものです。
   無断転載を禁じます。

ルート図      


 山行記録

7:18 コガラ登山口駐車場に到着(写真)。

先着2台も、人は見当たらない。
林道の左右に草地が広がる駐車場で、広々として混み合うということはないだろう。
元はスキー場かななんかだったのだろうか、手前にトイレマークの建物と何かの施設だったのか大きな建物が並んでいる。
トイレは国道19号線沿いの道の駅日義木曽駒高原で済ませた。

7:32 コガラ登山口駐車場を出発。

登山ポストのある登山口(写真)を入り、前方やや右に麦草岳を見ながら林道を先に進む。

すぐに福島Bコース・茶臼山分岐(写真上)を右に入る。左は茶臼山方面になる。
道標(写真下)は50mほど先にあるが、元はそっちが分岐だったのだろうか?
なだらかな林道沿いには、ヨツバヒヨドリノリウツギタマガワホトトギスサワギクキバナノヤマオダマキクガイソウヤマホタルブクロトリアシショウマなど多彩な花が彩る。

8:07 幸ノ川渡渉地点に到着(写真上)。

川幅は広いものの水量が少なく難なく渡り、ピンクテープに導かれ右岸の斜面に取り付く(写真下)。
ジグザグの急登が続く登山道の傍らに、コバノイチヤクソウや花後の果実が付いたエンレイソウなどを見ながら登る。

10分ほどで主尾根に乗り、4合目の道標(写真)を見る。
それほどの急登ではないが、長丁場を考慮して歩幅は狭く、木や岩があれば掴まり体力を温存しながら登って行く。
途中でギンリョウソウを見る。

ロープで固定された木の階段を登ると、ほどなく力水(4合半)(写真上)に着く。
右下に水場(写真下)あるが、水量が少なくちょっと淀み気味で飲む気になれなかった。

次第に傾斜が増し、ロープ場を交えての急登から5合目(写真)を過ぎる。

9:12 P2106に到着。小休止。

当然(?)道標などはないので、GPSで確認する。
たまたま横たわっている倒木をベンチ代わりに一息入れる。

9:17 P2106を出発。

露岩が目立つ尾根(写真)を緩急交えて登る。

6合目(写真)からしばらく急登が続いた後、ゆるみから隠れピークを越える。

P2386手前の大岩を左に巻くと、見晴台の道標(写真)がある。
すぐ左の岩(P2386だろう)に上がると麦草岳の頭と赤林山が見えているが、その先の御嶽山は雲に隠れている。

ここからは傾斜がゆるみ、ほどなく避難小屋(写真)が見えてくる。

10:06 木曽駒ヶ岳七合目避難小屋に到着。小休止。

小屋の屋根にはソーラーパネルが設置され、夏用冬用のトイレがある。
小屋とトイレの間を上がると分岐(写真)があり、左に木曽駒ヶ岳方面への福島コース、右にキビオ峠への福島Aコースが分かれる。
麦草岳ヘは丸太ベンチの間から南に延びる尾根に入ることになる。

10:14 木曽駒ヶ岳七合目避難小屋を出発。

麦草岳への登山道に入る(写真)。
ゴゼンタチバナが群生する登山道を急登する。ギンリョウソウもその透き通るような白い姿を見せる。

木曽駒ヶ岳

途切れることのない急登に、すでに足はヨレヨレ、先が思いやられる。
2630mあたりで木曽駒ヶ岳(写真)が姿を現わした。
ゴゼンタチバナの中に見慣れない花を見つける。帰宅後調べるとツマトリソウだった。

駒石の手前の2630mあたりで山頂に雲の掛かった木曽駒ヶ岳と木曽前岳が姿を現わした。良く見ると間に宝剣岳も見えている。
特徴的な駒石(写真)から麦草岳へはわずかだ。

11:01 麦草岳山頂に到着(写真上)。小休止。

三角点と一応山頂標識(写真下)があるが、中央アルプスの山としてはちょっと寂しい。
西側はハイマツの急斜面が広がり、その先の雲の中にうっすらと御嶽山が見えている。
南側には共に雲の掛かった木曽駒ヶ岳、木曽前岳や牙岩、三沢岳、P2733が見られる。

11:11 麦草岳山頂を出発。

ハイマツ帯を縫ってP2733に向かう(写真)。ハイマツで登山道は完全に隠されているが、その隠された中に登山道の形跡を探しながら進む。

P2733の先で稜線の先が切れ落ち、進行方向を探っていると左の潅木に目印(写真)を見つける。ときどき出てくる目印が心強い。

ミネウスユキソウバイケイソウカラマツソウミヤマトリカブトなどを見ながら潅木帯を5分ほど急下降すると、突然潅木帯を抜け草地の急斜面上(写真)に出る。
斜面は右が崩壊左が潅木帯の切れ落ちた稜線へと降りて行くが、一見して登山道がないように見える。

何とか草の合間に踏み跡を見つけ横切るようにたどる(写真)が、足元が良く見えず、躓きや踏み外しに神経を使う。
シナノオトギリミネウスユキソウバイケイソウなど一面お花畑になっているが、じっくり見る余裕はない。
潅木や草に掴まり、何度か折り返して無事降りる。

ここから左の潅木帯の急斜面と右の崩壊地の間のエッジのような稜線(写真上)を登り返してから、崩れやすいガレ場に踏み込んだり(写真中)、大岩を越えたり(写真下)と、今回最大の難所を通過する。
その間にクルマユリハクサンチドリバイケイソウミヤマアキノキリンソウなどが見られる。

さらにタカネグンナイフウロや花の終わったイワベンケイクルマユリなどを見ながら、草地の急斜面に付けられた登山道(写真)をたどる。

クサリの付けられた岩場(写真)を越え、前方の岩峰を登って行く。

牙岩や木曽前岳を一望する(写真上)P2676上を岩を縫うようにして越え、右が切れ
落ちた砂礫の稜線をたどるが、2箇所目はピンクテープに導かれ左の潅木帯に入る(写真下)。

2本のハシゴ(写真上)からさらにロープ頼りに牙岩を越え(写真中)、牙岩の標識(写真下)が立つ鞍部に降り立つ。

すぐ先に分岐を示す道標(写真)があり、左は九合目(玉ノ窪)となっている。

右の稜線をたどり隠れピークを越えると、前方に木曽前岳が大きく見えてくる(写真)。

大岩を左に巻いて(写真上)から、草地や潅木の急斜面をロープ頼りに登る(写真下)。

15分ほどで木曽前岳の西端に登り着き、ハイマツ帯や岩を縫って行く。
上松コースを右に見送り(写真)、チングルマミヤマダイコンソウハクサンイチゲウサギギクなどを見ながら進み、岩が積まれたピークに登り着く。

13:20 木曽前岳山頂に到着(写真右上)。昼食。

ここがP2826で木曽前岳だと思って上がったものの、北西側のピーク(写真右下)がどうもそれっぽい。だが、遠目ながら道標などは見当たらず、登り返す気力もないのでここを木曽前岳と決め込む??。帰宅後確認すると、やはり隣のピークが正解みたいだ。
展望は素晴らしく、木曽駒ヶ岳から中岳、宝剣岳、空木岳、赤梛岳、南駒ヶ岳、熊沢岳、三沢岳など、中央アルプスの主峰が並ぶ(写真下)。

木曽前岳山頂からのパノラマ

13:42 木曽前岳山頂を出発。

道標を左に下る。
前方に木曽駒ヶ岳を見ながら、ハイマツ帯からガレ場を下り(写真)、10分足らずで玉の窪小屋の建つ鞍部に降り立つ。

13:51 玉の窪小屋に到着(写真)。小休止。

人の気配がないが、営業しているんだろうか。

13:56 玉の窪小屋を出発。

北側の斜面に入る。
小屋の下辺りはミヤマシオガマミヤマダイコンソウのお花畑(写真)が広がる。
木曽前岳の東側のハイマツ帯をトラバース気味にたどる。

ヤバい崖が続くと思ったら、いつの間にかルートを外れ、牙岩下分岐への登山道を歩いていた。途中それらしい分岐はなかったと思ったのだが。。。
150mほど戻り、沢状の斜面(写真)を下り登山道に合流する。

水場のある福島コース8合目(写真上)を過ぎ、雪の残る岩場(写真下)を越える。
途中でマルバダケブキを見る。

15:24 木曽駒ヶ岳七合目避難小屋に到着(写真)。小休止。

もう足も気持ちもヨレヨレ!!この先は下り一辺倒だが、まだまだ道のりは長い。

15:30 木曽駒ヶ岳七合目避難小屋を出発。

徒渉地点手前でカメラを落としたことに気付く。周囲を見回してもないため諦めて下る。

16:55 幸ノ川渡渉地点に到着(写真)。

林道を下りながら、最後の撮影が4合目だったことを思い出す。これから探しながら登っても15分ほど。。。意を決して探しに戻る。

16:59 カメラ捜索開始地点に到着。

斜面の登りの1/3あたりで無事発見する。

17:19 カメラ捜索開始地点を出発。

ひたすら林道を下る。

17:42 コガラ登山口駐車場に到着。


 麦草岳、木曽前岳で出逢った花たち


 感想

いきなりミツバヒヨドリやノリウツギ、キバナノヤマオダマキ、ホトトギス、クガイソウ、ホタルブクロなど多くの花に出会え、30分の林道歩きがアッと言う間に過ぎた。その後も写真に掲載したゴゼンタチバナやカラマツソウ、チングルマ、ハクサンイチゲなどのほか、ギンリョウソウやトリカブト、マルバダケブキ、バイケイソウなど多くの花に出会えた。これはうれしい誤算だった。

この日の幸ノ川徒渉地点は問題なく渡れたが、川幅があるので水量が多いと渡れないかも知れない。
避難小屋までは後半急登が続き、避難小屋から麦草岳へはさらに急登が続き、かなり足に堪えた。
麦草岳から木曽前岳までは草地の急下降や両側が切れ落ちた稜線など、怖さはないものの危険度は高い。反面、岩場やハシゴ、ハイマツ帯など変化に富んだルートを楽しめる。
P2733の先の草地は急斜面にもかかわらず、足元が草に覆われ良く見えないので、躓きや踏み外しに細心の注意が必要。
その先の狭い稜線の登り返しは、左が切れ落ちた潅木帯と右が崩壊気味のガレ場の間を登ることになる。ここも細心の注意が必要だ。
岩場ではペンキのマーキング、ハイマツ帯では良く観察すれば覆われた登山道が見えてくる。
玉の窪小屋からの下りは道標などがないため、沢への降り口が分り難い。しかも、牙岩下の分岐に続くと思われる登山道は明確で、ピンクテープも付いていて引っ張られてしまった。
また、決して単調な道程ではないのだが、木曽前岳までのルートを体験してしまうと、ただただ長いだけで退屈に思えてしまう。

展望は所々であるものの、木曽前岳からの木曽駒ヶ岳や中岳、宝剣岳、空木岳など中央アルプスの主峰を一望できる大パノラマは見応えある。

ハイマツ帯に入るとザックやウエアに薄黄緑色の粉が付いているのに気付いた。雄花の花粉だが、これがものすごい。ちょっと掻き分けただけで一面に舞い上がり、吸ったら不味いんだろうかとの思いがよぎる。

今回は2つのポカを犯した。
1つ目は玉の窪小屋からの下りでのルートミス。これはよくあるので良しとしよう。ホントはダメなのだが。。。
2つ目はカメラ?を落としてしまったこと。この日履いていたパンツのポケットには小さな穴が開いていたのだが、知っていながらカメラを入れていた。その穴がいつの間にか大きくなり、落ちてしまったのだ。最後に撮ったのは稜線からの下りでのこと。意を決して探しに戻ると1/3ほど登ったあたりで見つけ事無きを得た?。
この2つのポカで40分ほどのタイムロスになったが、良い教訓になった。。。はず。。。??。